長濱シルクとは、浜ちりめん、輪奈ビロード、浜紬、琴糸などなど長浜地域のシルク産業の総称。
浜ちりめん、輪奈ビロードetcは伝統、歴史、地場産業的なニュアンスが強く感じられる言葉ですが、
長濱シルクはそれらにプラスして未来への可能性と従来の業界の垣根をこえ、
「長浜」という場所から3社の織物事業者がチームに分かれそれぞれの取り組みを進める世界に広げる新しいPRODUCTです。
ルーツをたどると約270年前にまでさかのぼる、長浜の絹織物製造。
「浜ちりめん」ブランドの名で京友禅や加賀友禅の下地に用いられる白生地として、最高級の地位を確立してきました。
最盛期とされる昭和40年代には185万反が生産され、織物工場をはじめ関連事業所が市内のあちこちで、機織りの音が響きわたりました。
しかし、和装需要の低下に加え、品質ゆえの価格の高さは手が届きにくく、近年の生産数は4万反ほどに減少してしまいました。
関連事業所はこの30年で124から12に減っています。
そんな従来の浜ちりめんや、輪奈ビロードを新たに「長濱シルク」として活路を見出すために立ち上がった3社の織物事業者を紹介します。
有限会社 吉正織物工場
吉田 和生
南久ちりめん株式会社
長谷 健次
株式会社タケツネ
武田 規与枝
髪の毛の半分ほどの細さの絹の糸を撚(よ)り合せて、一本の糸をつくることを撚糸(ねんし)という。浜ちりめんでは、1mに3~4000回転も糸を撚るため、途中で切れてしまわないように水をかけながら撚糸をする。八丁撚糸、水撚りという。
浜ちりめんの特長の一つ。水撚りをしたヨコ糸で生地を織ることで、生地の表面に凸凹がうまれ独特の光沢がでる。
輪奈ビロードではループを作るために芯材を織り込みます。
その芯材を引っ掛けながら抜いていきます。針抜きを進めていくことにより柄が姿を出す技法です。
「シルク関連地域資源」を活用し、和装分野のみならず、洋装・インテリア分野などの最終消費財開発を目指しています。
商品開発するうえでの原価を意識しながら素材開発にも力点を置くとともに新しい機能性(例えばストレッチ性、強靭性など)も加味した生地開発を用い、デザイン性を追求し、海外市場も視野に入れながら製品開発にチャレンジしています。
「長濱シルク」は、八丁撚糸技法を用い、糸製作の段階から関わりをもち、生地表面の「シボ(凹凸)や風合い」が和装業界では高評価を得ており、その技法を使い、新たな展開の調査、研究を進めています。
古来より最高級の絹白生地として重用されてきた浜ちりめん、その品質、風合い、機能性、心地良さ、それらを現代とこれからを生きる人々にも愛用して堪能していただきたい。
吉正織物の浜ちりめんは伝統の技術を引き継ぎながらもさらに進化を重ね、生糸1本からタテ糸、ヨコ糸、製織までの全行程を自社内にて行い精魂込めて作り上げます。その絹白生地は八丁水撚り撚糸をベースに様々な撚糸を施し、独自の風合いを備えています。120㎝以上の広幅化を行い、アパレル向け高級シルク生地として進化させました。その広幅化された吉正織物の浜ちりめんシルク生地を活用した作品、製品を是非ご覧ください。
浜ちりめんの機屋は単に織の業者ではなく、糸から作れる機屋という強みがあります。
特に「地下水を使って強い撚りをかける八丁撚糸」は、浜ちりめんの最大の特徴。その技をシルクは勿論、麻やウールをはじめとして様々な天然繊維に応用してストレッチ性や生地の風合いを作り出していきます。
輪奈ビロードはかつてオスマントルコ皇帝やヨーロッパ貴族の高級装束として織られていました。
日本では織田信長がこの珍しい織物に魅了されたと伝えられています。その肌触りや着心地を生かす工夫がなされ輪奈ビロード和装コート地が生まれました。以来、長年和装コート地として愛され続けています。
輪奈ビロードは輪奈(ループ)と紋切り(毛)により多彩な表現が出来ます。現在ではそのデザイン性や保温性、軽さを生かしその着心地の良さを伝える為、洋装にも使用しています。
また滑りにくい特徴を生かし結ぶもの、肌触りの良さから手に触れる小物類も作っています。